Petit Voyage7「地中海の風の中で」
絵：嶋田幾雄 文：嶋田輝美
朝市をのぞいて見た
朝の漁から獲れたばかりの魚が並び
花屋 八百屋 鳥と卵 チーズの店・・・
店の人と顔なじみの客が、おしゃべりしている
パン屋の厨房から良い香りがしてきた
買い物を済ませた親子が、通っていく
人形を抱いた女の子が、
何かおねだりしているように聞こえる
きっと、おいしいケーキを買ってもらうのだろう
南仏にて サン・トロペ F１０
小さな漁港、サン・トロペ
漁を終えた舟が、港に戻って来る
城塞から見渡してみると
青い海原を背に、茶色の瓦屋根が
あたたかい
黄色のドームの教会が可愛い
暖かな海の便りを書きたくなった
地中海が誘ってくる
風の歌が松の枝を通り抜け
南仏の魅力をふりまいていく
この美しさを、あなたに届けたくて
絵の中に地中海を閉じ込めようと
スケッチする手が進む
南仏にて サン・トロペの海 M５０
マントンのホテルより F４
窓を開けて空を見る
ここは、南仏のマントンの小さなホテル
気持ちの良い天気
中庭のベンチでお茶を飲みましょう
見つめ合う瞳の中に愛を感じ
おだやかな時の流れを思う
あなたのささやき、
わたしのつぶやき
それは、二人だけのヒミツ・・・
＜泳ぎにおいで＞ 海が誘う
＜ねえ、遊ぼうよ＞ 子供が猫を追っかける
＜午後の予定はどうするの？＞ 話が行ったり来たり
建物の窓で、洗濯物が昼寝している
太陽も最高！！
ああ、この一瞬を僕は閉じ込めている。
南仏 ウ゛ィルフランシュ・シュル・メールの街角 F１５
ウ゛ィルフランシュ・シュル・メール 紙油彩
ニースから少し足を伸ばせば、
ウ゛ィルフランシュ・シュル・メール
こじんまりした港町だ
青い海に抱かれて、
一日、過ごすのもステキ
水着を脱ぎ捨てた人魚たちが
陽光を楽しんでいる
子供は、メリーゴーランドが大好き
曲が流れて、馬が走り出すと
ひきつけられるように、駆けていく
はじける笑い声が
明るい太陽の下、
広場に集まる人々の心を和ませる
大人になった、いま
馬の背にまたがって、廻っていくと
子供のころの素直な心、
夢見る心、幸せな時・・・
心の中の、宝箱をひっくり返して、
思い出すかしら？
南仏ウ゛ァンスにて メリーゴーランドのある広場
南仏にて ニースの海 900×350
コート・ダジュールの海
太陽と風が仲良く
訪れた人々を包んでくれる
解き放たれた心を
ニースの町が
大きく受け止めてくれるだろう
マントンの港 F１５
地中海の朝陽を求めて
早朝、海岸に出てみた
太陽がゆっくりと昇る
うすべにの空が白々と開けていく
旧港の遊歩道から、町を振り返ると
サン・ミッシェル教会が見えた
小舟の横で海面に映る教会が
陽光を受けて、きらめいている
マントンでの一日が、今、始まった
地中海に朝陽が昇り、南仏の町々が目覚める
漁に出かける舟、朝市の準備をする人たち・・
スケッチブックを手に、私の一日もまた始まる
Ca Va? 元気？
明るい声の向こうに
チャーミングな瞳が笑っている。
南仏を包む暖かな光、そして風
キャンパスに描かれる人々の
Ca Va? 元気？
軽やかな声が、きっと、あなたの元へ届くで
しょう
南仏 ニースの花市